熱中性子捕捉療法
今日のネタは少しばかり専門的な話を・・。
ちょっと取っ付きにくい話なんで、一般の方はスルーしてもらって結構です(笑)
何気に検索エンジンのトピックで以下の記事を発見しました。
今日は放射線治療の話をちょっとばかり・・・。
現在、放射線治療の主なものはリニアックを用いた外から放射線を照射する外部照射がメインです。
適応としては体幹部腫瘍などです。
中でも頭部疾患に至ってはガンマナイフ、ラジオサージェリーも一般化しつつあるようです。
また、高度先進医療では、陽子線によるブラッグピークを利用した重粒子線治療も行われているようですが、中々敷居の高い治療となっているのが実情です。
シンクロトロンの加速器と照射ガントリ(陽子線)↓
一昔前はマイクロトロンを用いた乳癌への接線照射、ベータトロンなどの加速器を用いた治療も存在していましたが、発生効率や維持管理の問題で姿を消しつつあります。
ベータトロンに至っては術中に26Gyもの電子線を、露出した患部(膵臓癌、胃がん等)へ照射するというかなりダイナミックな治療でした。
で、今回注目したいのは、記事にありますような、放射化した安定元素またはラジオアイソトープ(放射性同位元素)を用いた癌治療です。
まずを密封型放射性同位元素用いた治療としてはCo60やAu198やIr192などを利用した腔内照射(婦人科系癌、食道癌など)や線源封入型治療用シード(舌癌など)があります。
次に非密封型放射性同位元素を用いた治療としては、I131を内服して治療する内服療法などがあり、甲状腺癌や甲状腺機能亢進症などに用いられています。
ですが、これらラジオアイソトープ(放射性同位元素)を用いた癌治療は、中々管理の難しさ等もあってメジャーなものとならなかったようです。
言いかえると、この分野は発展が少なかったように思われます。
で、最近になって「熱中性子捕捉療法」の記事を目にしたわけですが、久しぶりに、この分野に関する研究が進んでいたのかと嬉しくなりました。
中身に関しては深くは触れませんが、概念は昔から存在していました。
核反応↓
10B+n → 7Li + 4He
核反応により発生する高エネルギーの7Liや4Heは数ナノメートルしか進行しない。この原理を利用し、ガン細胞が特異的に代謝する化合物に、10B原子を標識し、体内に取り込ませ、中性子照射すると、ガン細胞のみを選択的に破壊することができる。
つまりα線は紙一枚で遮蔽できるメリットを活用したうえ、RBE(生物効果比)は4.0と大きい。
でも、中々表に出てこなかった分野です。
それがここに来て少しずつ具現化してきているようでありませんか。
ちょっとばかり期待して注目したい分野です。